障がいのある人が「働ける仕事」を見つけるために。HATARAKU AIを作った理由
私は、障がいのある人と企業を単純にマッチングするサービスを作りたかったわけではありません。
作りたかったのは、「働きたいのに、自分に合った働き方や仕事を見つけられない人」を少しでも減らすための仕組みです。
その考えから生まれたのが、障がい者就労支援AI「HATARAKU AI」です。

HATARAKU AI OpenAI Build Week 2026応募作品
障がいがあるだけで、できる仕事まで決められてしまう
障がいの種類や症状は人によって違います。
同じ診断名であっても、得意なこと、苦手なこと、疲れやすさ、コミュニケーションの取り方、働きやすい環境はそれぞれ違います。
それでも現実の仕事では、
「この障がいなら、この仕事」
「この作業ができないなら、この仕事は難しい」
というように、大きなくくりで判断されてしまうことがあります。
しかし、本当に見るべきなのは障がい名ではありません。
その人が、
「何ならできるのか」
「何が負担になるのか」
「環境や仕事の進め方を少し変えれば、何ができるようになるのか」
ではないでしょうか。
私は、仕事に人を無理に合わせるのではなく、人に合わせて仕事の任せ方を考える仕組みが必要だと考えました。
就労支援は、本当に本人のためになっているのか

障がい者就労を支える制度や事業所は、多くの人にとって必要な存在です。
一方で、就労支援をめぐって不適切な運営が問題になる事例もあります。
制度を維持することや、事業所を運営すること自体が目的になってしまえば、本来中心にいるはずの「働きたい本人」が置き去りになってしまいます。
私は制度そのものを批判したいわけではありません。
必要なのは、
「この人は、どうすれば実際に働きやすくなるのか」
をもっと具体的に考えられる仕組みだと思っています。
障がい者支援の目的は、支援を続けることではなく、その人が自分に合った形で社会や仕事に参加できる可能性を増やすことだと考えています。
そこで考えたのがHATARAKU AI

HATARAKU AI OpenAI Build Week 2026応募作品
HATARAKU AIでは、本人側と企業側の両方から情報を整理します。
本人側では、
・得意なこと
・負担になりやすいこと
・指示の受け方
・働きやすい環境
・仕事の進め方
・休憩の取り方
・本人が伝えておきたいこと
などを入力します。
企業側では、
・仕事内容
・具体的な作業
・作業手順
・作業時間
・働く場所
・職場環境
・コミュニケーションの量や方法
・企業側が求めること
などを入力します。
AIが行うのは、「採用できる」「採用できない」という判定ではありません。
本人の特徴と企業の仕事を照らし合わせ、
「どの仕事なら担当しやすいか」
「どこに負担が生じる可能性があるか」
「どのような配慮があれば働きやすくなるか」
「仕事をどのように分解すれば担当できる可能性が広がるか」
を整理します。
私がHATARAKU AIでやりたいのは、人を選別することではありません。
仕事の側を細かく見て、「できる可能性」を増やすことです。
アイデアだけで終わらせず、実際にWebアプリを作った

HATARAKU AIは、企画書だけのアイデアではありません。
実際にWebアプリとして開発しました。
そして2026年、OpenAI Build Weekに応募しました。
社会課題について考えるだけでは、何も変わりません。
小さくても、まず形にする。
実際に動くものを作る。
そこから問題点を見つけ、改善する。
私はその方法でHATARAKU AIを作ってきました。
ただし、現在のHATARAKU AIが完成形だとは考えていません。
むしろ、ここからが本当のスタートだと思っています。
AIだけでは、本当に働きやすい仕事は分からない
HATARAKU AIをさらに実用的なものにするためには、AIだけでは足りません。
必要なのは、企業の中に実際に存在する「仕事のデータ」です。
例えば一つの職種でも、実際には多くの作業に分かれています。
電話対応が苦手でも、データ入力は得意かもしれません。
長時間の接客は難しくても、短時間の商品整理ならできるかもしれません。
複数の指示を同時に受けることが負担でも、一つずつ明確に指示されれば力を発揮できる人もいます。
「職種」という大きなくくりだけでは、こうした違いは見えません。
だから私は、企業の仕事をもっと細かい作業単位で整理し、そのデータと本人の特徴を組み合わせたいと考えています。
これからは、企業と一緒に作りたい

今後のHATARAKU AIでは、
企業に実際に存在する業務データ
本人の得意・不得意や働き方
必要となる合理的配慮
実際に働いてみた結果
こうした情報を蓄積しながら、より現実に近い就労支援へ進化させたいと考えています。
単に、
「あなたにはこの仕事がおすすめです」
とAIが答えるだけの仕組みではありません。
実際の仕事を細かく分析し、
「この作業ならできる」
「ここを変更すればできる」
「この部分だけ別の担当にすれば働ける」
という選択肢を増やしていく。
机上のマッチングではなく、実際の仕事を基にした仕組みにしたいと思っています。
そのため、今後はHATARAKU AIの考え方に賛同していただける企業や支援機関とも連携し、実証やデータ収集を進めていきたいと考えています。
「できない人」を探すのではなく、「できる方法」を探したい
私がHATARAKU AIで目指しているのは、障がい者を特別扱いする社会ではありません。
障がいの有無にかかわらず、その人の特徴を見て、仕事の任せ方を考えられる社会です。
「障がいがあるから、この仕事はできない」
で終わるのではなく、
「この人なら、ここを変えれば働ける」
と考える。
その選択肢を増やしたい。
HATARAKU AIは、そのために作ったものです。
まだ完成ではありません。
これから企業や支援する側、そして実際に働く本人の声を取り入れながら、現実に役立つ仕組みに育てていきたいと思っています。
開発者:井上博喜
HATARAKU AI
OpenAI Build Week 2026応募作品
協力企業・実証パートナーについては今後募集予定
HATARAKU AI 具体的な内容


